百四十物語集・参(再掲)
椿、引越ししてるんだってよ。
美〇明〇のこと三〇〇宏と書き間違えてた…。
- twitterにて制作した140字以内の詩のような短編小説を転記したもの。三集目。今回は@sousaku_hashtagさんからお借りした「#外を見て今の景色を小説風に書いてみる」というタグを使用させていただいております。他にも「#綾小路充の日常」と「#オリキャラに言わせたい台詞」という自作のタグも使用しております。
果てしなく自分の世界なので閲覧される方々はくれぐれもお気を付けください。
(当時のまえがき) - 収録作品
・繋がる
・不協和音
・芍薬
・旅人
・悟り
・夢の中すら烏滸がましく
・#外を見て今の景色を小説風に書いてみる
・#綾小路充の日常(大学編)
・#綾小路充の日常(都市伝説同好会編)
・#オリキャラに言わせたい台詞
繋がる
放課後の夕暮れの教室。そんな在り来たりなシチュエーションの中で園ちゃんは当たり前の事かの様に自分の手と僕の手を絡み合わせる。
「至くんと繋がるこの手が好き」
そう言って園ちゃんは恍惚に満ちた笑みを浮かべる。僕は口の中に溜まっていた唾を飲み込んだ。
次に僕の視線はこの手に絡みつく彼女の手に移る。真っ白な手は美しくて、きっと白雪姫の手もこんな感じだったのだろうと考えた。それくらい美しい。気がつけば、絡み合う僕らの手からは自分達の体温とはまた違った熱が発せられている気がした。ふたりを溶かしてしまう様な熱を。
熱は手から広がり、体中を駆け巡って行く様な錯覚に囚われた僕は思わず、「溶けてしまいそうだ」と溢す。その言葉に園ちゃんは一瞬、きょとんとした表情を浮かべたけれど、直ぐに元の美しい微笑みを浮かべる。
「そうね。そうなってしまえば、私達幸せね」
手はどんどん熱を帯びている様な気がした。それと同時に絡み合うお互いの手の力も増している様にも感じる。
「ねぇ、至くん。私、至くんが好き。大好き」
あぁ、本当にこのままじゃ本当に溶けてしまう。
「ねぇ、至くん。至くんは私の事、好き?」
その問いを答える事は僕にはできなかった。返事をするよりも前に、いや言葉を聞き終わる間もなく、気を失ってしまったからだ。その瞬間はまるで本当に溶けてしまったかの様で僕は問いかけに答える事よりもずっと重要で、幸せに満たされていた。
不協和音
父は雑踏から生まれる不協和音の音を愛していた。それが私と父との記憶。だけど今、私はどうしようもなく、それらを愛せない。
このまま愛せなければ、いつか父は過去の人となってしまうのだろうか? 私はそれを願っているのだろうか? 忘れたいのだろうか? 私は、父の事を。
芍薬
美しき花となって貴方のお傍にいられたら。そう願ってやまない私はもう肉体を離れ、魂はあるべき場所に戻らなくてはならない。だけど、どうやら欲深いらしい。求めてしまうのだ。いつまでも貴方の傍にいられたら、と。
旅人
指先に温もりを感じ、涙を流す旅人は旅の終わりを悟りました。そして閉じた瞼の先で遠く離れた母の事を思い出していました。広大な海のような愛おしさと絶対的な安心に満ちたあの頃を。母の全てに守られていたあの場所を。もう戻ることのできぬ桃源郷を。
悟り
「世界があるから私がいるんじゃなくて、私がいるから世界があるの」
湖瑠璃は微笑んだ。まるで全てを悟ったように。
「なんだよ、それ。無茶苦茶だな」 そう言って僕は笑う。
「そうかな? でも、そう考えたら楽しいよ。きっと」
そしてまた湖瑠璃は笑う。今度は寂しそうに。
夢の中すら烏滸がましく
「せめて夢の中だけでもあの人に会いたい」と嘆く人がいたけど、私は夢の中で会うことすら烏滸がましく感じてしまう。私はこんなにも醜く、あの人には現実と夢のどちらでも幸せでいて欲しいから。偽善だ何だと言われても、それが私に出来る唯一の愛なのだと言い聞かせて。
#外を見て今の景色を小説風に書いてみる
暗がりの中にぽつん、ぽつんと明かりが灯っては走り去る。その姿をただ眺めるしか出来ないことが、何だか寂しくなった。
#綾小路充の日常(大学編)
「ねぇ、今日の飲みって女子だけの筈だよね? なんで綾小路がいんの?」 「別に綾小路なら良くない?」 「いやいや、彼奴見た目はアレだけど生物学上は男だよ?」 「でも綾小路ってそういうの超越してる感じじゃん。三○○宏みたいにさ」 「マジか」
#綾小路充の日常(都市伝説同好会編)
綾小路「バニーガールとかやりたくても出来ないから、代わりに繪漣にヤってもらおうと思う」 羊「絶対やらんだろ」 繪漣「良いですよ」 羊「マジで?!」 繪漣「その代わりに先輩の命をいただきます」 綾小路「」 羊「等価交換か」
#オリキャラに言わせたい台詞
もっと綺麗でいられたら良かったのに。心も、なにもかも。(椎名桜子)
いろんな男の子たちを好きになったよ。みんな、私を好きになってくれた。だけど、それがなんだって言うの? あんなさ、上辺だけの付き合いなら誰にだって出来るよ。でも、貴とはそうじゃない。そうであって欲しくないの。(椎名桜子)
私は誰なんだろう、誰になりたかったんだろう。そんなことを鏡の中の自分に問いかけた。(霧澤聖)