聚 vol.2

お久しぶりです。椿 静琉でございます。

冒頭から近況報告という名の告知です。
 
第19回文学フリマに参加される文芸サークル“みどりむし書房”さんのサークル誌『聚 vol.2』に私、椿 静琉も参加させていただきます。椿は今回、2度目の参加になります。
毎回テーマが決められているのですが、今回のテーマは「むし」です。椿はその中で『夢死』という短編小説を書かせていただきました。久々に小説が書けて高揚感で一杯でした。(その分、周りにご迷惑をおかけしたり、反省すべき点も沢山ありますが)
先日、完成品をいただき他の執筆された方々の作品を読ませていただきました。今回はTwitterに呟いた感想に加筆修正をしたものをまとめます。
 

 

  • 今井優『となりのダーティアーモンドチョコレート』
相方でありカエルのヤナコッタでお馴染みの今井優さんの作品。
なんかもう、凄いです…。典型的な青春小説なのかと思いきや、急転直下。予想外な方向を駆け抜けて行きました。
最初に読み終わった時は「今井、お前…!」という気持ちと「まぁ、今井さんだしな…」という気持ちが混在していました。我が相方恐るべし。
タイトルにもなっているダーティアーモンドチョコレートって世の中で最も嫌われているであろう奴をオブラートで三十層くらい包んだ秀逸な表現だと思います。今井さんのこういう所、凄く良いなと思っています。
作中に出てくる先輩に対する妄想が広がります。男なのか、女なのか。横柄なのか謙虚なのか。気になる木。
今井さんは今回、みどりむし書房さまで『カエルのヤナコッタ』を頒布されます。そちらと連動する形だと思われるのですが、今回の聚の巻末にはヤナコッタについての質問状式インタビューも掲載されています。
 
個人的に設定や登場人物の関係性など随所でクリティカルヒットされっぱなしな作品で頭が沸騰するかと思いました。アゲハ様もカイコちゃんも可愛い。
私が書く小説は人物の名前や設定に変な小細工を入れてしまいがちで、
「お前、これ何の厨二病だよー!」
とか言われそうなものが多いのですが、ケヤキ先輩はそういうのが一切なくて凄く丁寧な印象を受けました。設定とリンクさせてブレを感じさせない。凄く勉強になりました。
 
  • 独蛇夏子『カナブン』
たぐいさんに惚れました。
サークル誌を企画されたみどりむし書房の独蛇夏子様の一作。
ケヤキ先輩もそうでしたが、独蛇先輩の作品も細部にまでこだわりがあって丁寧な印象を受けます。
詳しく書きすぎるとネタバレしそうなので、あまり書きませんが作中で1番異彩を放つサナエちゃんが特に印象深かったです。彼女の存在に最初は違和感を抱いていたのですが、話が進むにつれて彼女が主人公だったのかと気付かされ、最後にはこの作品を一つにしていたように感じました。(独蛇先輩、違っていたら申し訳ございません!)
どの登場人物も温かみのあって素敵です。
タイトルや作中の流れから感じる言葉へのこだわりは(この様な表現が正しいのか分かりませんが)日本語学を専攻されている先輩だから書けるのだと思いました。
 
  •  宵眇杓『神様の標本』

こちらも個人的に色々とクリティカルヒットされっぱなしな作品でした…!
相互依存を感じさせる雰囲気に頭の中が再度沸騰するかと思いました。
タイトルにもある“標本”そのものの様な美しい作品です。
こちらもネタバレになってしまうので細かくは言えませんが意表を突きながらも納得させてしまう文章が幾つもあって凄く好きです。レキの中のアリーシャに対する、もしくはアリーシャの中にある愛情の定義、そういった部分を表す所とか。その後の2人が気になります。今回の聚は登場人物たちのその後が気になる作品が多いです。

 

  • 華音『夏の日に』 

みどりむし書房の華音様の一作。
今回の聚の中で一番爽やかでリアリティのある作品だと思います。話がすこしズレるのですが、今回寄稿する際に最初に思い描いていた作品はデートしている男女の諸々を書いたものでした。しかし段々恥じらいとかがその他諸々の所為で書けなくなってしまって、急遽書き直した経緯がありました。そういうこともあって私の中で等身大の若者を書くことは、とても凄く難しいです。
『夏の日に』に出てくる恋人たちは、実在しているように感じられる二人でした。理想と現実に悩んだり、思い通りにいかなかったり。でも、その中にある華音先輩の柔らかな雰囲気がそのままに感じられる作品だと思います。智里ちゃん可愛い。
華音先輩も今井さん同様、増刷される短編集『箱庭の崩壊』についての質問状形式インタビューが掲載されています。

稚拙な文章で申し訳ないと思いつつ感想は以上です。
今回刊行される『聚 vol.2』はどの作品も執筆された皆様の細部に至るまでのこだわりや魅力が詰まった素晴らしい本となっております。魅力しかないよ!
是非文学フリマに足を運んでいただいて実際に手に取っていただきたいと思います。

 

第19回文学フリマは11月24日(月曜日/祝日)

東京流通センター 第二展示場で11時から開催されます。

 

公式サイト:文学フリマ - 第十九回文学フリマ開催情報

 

個人的な作品に関することは、また後日書こうと思います。
それでは、これにて失礼致します。ドロンっ!